世界遺産バース市街
 
ローマ時代の2世紀ころに温泉の町として発展した歴史ある町バース(Bath)、アングロ・サクソン人が温泉に因んで呼んでいた町の名前(Baðum)が現在の町の名前の語源になったとのことであり、ローマ時代以降ローマ式の浴場は破壊されるも温泉の利用は続けられていました。
16世紀のエリザベス1世の時代には温泉地として復活し、18世紀のジョージ2世の時代になると王侯貴族や富裕な階層の保養地として大規模に再開発が行われて町は発展しましたが、第二次世界大戦時にドイツ軍の爆撃の被害を受けており、戦後再建が行われています。
町には保養地として発展した時代の18世紀に建てられた建物が多く残されており、1987年にユネスコの世界遺産に「バース市街」の名で登録されました。
 
 
 
バースのホテルで夕食後、Sさんと二人で街中の写真を撮りに。
時刻は午後9時半過ぎ、日本ですともう真っ暗なのに、こちらの日没は9時過ぎですので、陽は落ちたもののまだ明るさが残っており、西の空には夕焼けが。
ホテルそばのテラス・ウォークの奥にはバース寺院の鐘楼が見えます。 
 
 
 
 
      
  エイヴォン川
川には三段の堰があり、鴎が堰の上で休んでいます。対岸のラビリンスという公園ではそぞろ歩きするカップルの姿も見受けられます
 
        
   
パルト二―橋(Pulteney Bridge)
エイヴォン川(エイボン川とも)に架かる三連アーチの石橋で完成したのは18世紀の後半。イタリアはフィレンツェにあるヴェッキオ橋と同じように、橋の上にお店があります。
 
     
バース・アビー(Bath Abbey)
バース大僧院、バース寺院とも呼ばれ町のランドマークとなっていて、ときには『イングランド西部の灯火』とも呼ばれるこの寺院は、創建が676年とすでに1300年以上の歴史があります。
バース・アビーは、11世紀の終わりにロマネスク様式で建て替えられ、15世紀の終わりには現在のチューダー様式で再建され、ヘンリー8世によるローマ法王庁との離別以降、修道院の解散が命じられ廃墟同然となったこともある寺院です。
   
 
     
観光3日目、本日一日バース市街の観光です。観光のスタートは9時半ですので、Sさんと朝の散歩に。まずは昨日夜景を撮ったパルト二―橋からスタートです。
ホテルを出てすぐのところを流れるエイヴォン川沿いにはパレード・ガーデンがあります。有料の公園ですが、朝10時からの開園とのことで、とりあえず上から写真を撮って、午後に訪れることに。
   
        
   
パルト二―橋とエイヴォン川  
     
  グレート・プルトニー・ストリート(Great Pulteney Street)
パルト二―橋から北東に向かって約500mの間、両側には3階建ての集合住宅が並んでいます。日本ではまず見かけない光景です。
 
     
  ホルバーン博物館(Holburne Museum)
グレート・プルトニー・ストリートがプルトニー・―ロードと交わったところにある博物館で、1882年に建てられたウィリアム・ホルバーン卿の邸宅であったところで、同卿のコレクションが展示されています。
 
      
観光スタートの時間が近づいてきたので一度ホテルに戻り、午前9時半にツアー参加者そろって観光スタートです。  
     
   
東側   正面   正面ファサード
 
バース・アビー   
     
  左端はバース・アビー、右側はローマン・バス(Roman Bath)で、現在はローマ浴場博物館となっています。
朝の早い時間、アビー・チャーチ・ヤードと名付けられたこの広場は人をほとんど見かけませんが、午前9時を過ぎるとローマ浴場博物館の入場待ちの人や大道芸人たちで混雑します。
 
    
   
ローマ浴場博物館の外観  
     
   
大浴場は一段低いところにあったため埋没していましたが19世紀に発見されたもので、現在でも46℃位のお湯が沸き出ています。バースでは、現在も3ヶ所の源泉があり、利用できるスパがあるようですが、添乗員さんの話では利用料金が5000円くらいするとか。  
     
発掘されたローマ浴場には大浴場のほかに、東と西の浴室があり、サウナや水風呂まで完備していたようで、現代の温泉施設と全く変わりない設備となっていたようです。
写真に写っている女性たちは当時の様子をビデオで再現して写しているものです。
また右端の写真はサウナの加熱室で、ここで炭火を燃やし過熱し、その煙は煙突を用いて外に排出されていたようです。
 
東の浴室
 
サウナ
 
加熱室
 
     
  セント・ミカエル&セント・パウロ教会
(St Michael and St Paul's Church)
ウォルコット・ストリートとブロード・ストリートがA3039号線と合流する交差点のところにある教会で、教会そのものは中世の時代にあったようですが、現在の教会は18世紀に建てられたものです。
    ジェーン・オースティン・センター
ゲイ・ストリートにあるこのセンターは、1801年から5年間ここバースで暮らしていた作家ジェーン・オースチンに関する資料が展示されています。
 
     
  ザ・サーカス(The Circus)
ゲイ・ストリート、ベネット・ストリートそしてブロック・ストリートの3本の道が交差するところに直径200mくらいのロータリー交差点があり、中央に大きなプラタナスの木が植えられ、周りを円弧型の3階建てのテラスハウス(集合住宅)が設けられています。
1754年からジョン・ウッド親子の設計により建設が行われ約30年かけて完成したものです。
 
   
  アッセンブリ―・ルーム(Assembly Romms)
1771年にジョン・ウッドの設計により建てられた上流階級のための社交場で、現在はコスチューム博物館となっており、マネキンが中世の時代からの衣装を身に着けて展示されているので、女性に人気の博物館となっています。
 
 
  ロイヤル・クレッセント(Royal Crescent)
ザ・サーカスからブロック・ストリートを歩いて行くとあるのが、バースを代表するパラディオ様式で、当時の上流階級の別荘として建てられたというロイヤル・クレッセントです。
18世紀にジョン・ウッドの設計により建てられた、三日月形というか円弧型の建物で、建物内の戸数が多そうに見えますが、1戸が地下1階地上3階建てとなっているテラスハウスで、合計30戸しかありません。1戸当たりの面積が相当あるのでしょうね。
横に広すぎて、建物前の芝生の広場の後ろまで下がっても全景を入れるのがやっとです。
 
   

アレクサンドラ公園から見るバース市街(中央右寄りの塔がバース・アビーの鐘楼、その左側にローマン・バスのドーム屋根が見えます)
 
     
  バース・スパ駅(Bath Spa railway station)
町の交通の中心となるこの駅は、チューダー様式で1840年に開業した駅で、開業当初は単に「バース駅」いう名でしが、近くにある「バース・グリーン・パーク駅」と区別するために1951年に改名されています。
この駅からロンドンまでの所要時間は1時間半ほどのようです。
 
     
  バース・スパ駅のそばにあるわずか150mくらいの距離のセント・ローレンス通りには、色とりどりの傘が吊り下げられています。
そういえば、ポルトガルのアゲダという町では、毎年7月から9月まで「傘まつり」が開催され、こことは比べ物にならない数の傘によって通りが埋め尽くされるようです。
 
 
     
  ザ・クロス・バス(The Cross Bath)
ローマン・バスから少し離れたところにあるこのスパは、ローマン・バス同様に歴史があり、16世紀から18世紀にかけては王族たちがよく訪れ、1688年にはイングランド王ジェームズ2世の妻モデナも訪れたといいます。
右はザ・クロス・バスそばの建物にあった看板、やはり温泉のマークなのでしょうか。
 
 
     
パレード・ガーデン
朝方上から撮ったパレード・ガーデンに入ってみました。
入ったところにあるお大きな花壇の左にはJANE AUSTEN、右下には200とあります。
ジェーン・オースチンは1817年7月18日に41歳で亡くなりましたが、明日がその没後200周年ということで、イギリス国内各地で色々イベントが模様されるようですが、ここバースもゆかりの地ですので、何か模様されるのでしょうか。
   
     
   
     
  モーツァルト像
なんでバースにモーツァルト像がと思って調べたところ、毎年11月にここバースでモーツァルト・フェスティバルが開催されているようで、モーツァルトを好んだ亡き息子を偲んで、母が造ったもののようです。
    エドワードⅦ世のレリーフ
 
     
  泊まったホテルのそばにあったのは「空飛ぶ豚の絵」、豚に羽があるなんて、ありえないことですがヨーロッパの各地では慣用句として用いられているようです。
「不思議の国のアリス」にも第9章の「にせウミガメのお話」の中に公爵夫人とアリスの会話の中に『ちょうど豚が空を飛ぶように・・・』とでてきますが、「豚に翼があるなら、何でも可能だ」とか、「牛に翼があるのなら、飛べるだろう」、「鶏に歯があるのなら」などと使われているようです。
 
       

タチアオイ
 
 
     
    旅も終盤、明日はコッツゥォルズ地方の観光です。    
     
     
     トップページに戻る      イギリスの美しい村々を訪ねる旅に戻る      コッツゥォルズ地方を見る