世界遺産デチャニ修道院とペーチ修道院
 
デチャニ修道院

今日はツアー最終日、朝8時にプリシュティナのホテルを出発しデチャニ修道院についたのは10時少し前です。
ここデチャニ修道院は、1327年にセルビア王のステファン・ウロシュ3世デチャンスキ(在位1321年~1331年)によって建てられたもので、中世に建てられたものとしてはバルカン半島最大の教会堂で、修道院内の大聖堂には、ビザンチン美術における現存最大のフレスコ画が残されており、同王の遺体もここに安置されています。
聖堂のビザンチン様式のドームに初期ゴシック様式の窓、ロマネスク様式の柱など東西の様式の融合された建築が評価されて、2004年にユネスコの世界遺産に「デチャニ修道院」として登録され、2006年にはコソボのほかの教会建築(ペーチ総主教修道院、リェヴィシャの生神女教会、グラチャニツァ修道院)も含めて「コソボの中世建造物群」として拡大登録されたました。
しかしながら、コソボはアルバニア系住民が全人口の92%を占め、セルビア系住民はわずか4%足らずといった状況の中でのセルビア正教の教会ということもあって、セルビア政府による弾圧や宗教施設破壊へ報復するアルバニア系パルチザンの手榴弾の投込みやロケット砲の打ち込み攻撃などによる潜在的危機を理由に、危機遺産リストにも加えられることとなりました。現在修道院はコソボ治安維持部隊(KFOR)によって守られています。
 
    
紛争の傷跡
コソボ紛争では多くの犠牲者が出ましたが、プリシュティナからデチャニに向かう途中の道には時々このように紛争で破壊された家が残されているのを見かけました。
   
        
  修道院の手前にはゲートがあり、不審者の通行をチェックしており、修道院の入口にはKFORの兵隊の詰め所があって、兵士が常に立ち番をしています。訪れたこの日はハンガリー軍の兵士が警備していました。  
        
   門をくぐるとさらに門があります。これが修道院としての門のようです。門は3重構造になっており、10mくらいの厚さがありまるで城門のような作りです。   
 
    
大聖堂は赤紫色や淡黄色のレンガやオニクス・マーブル(オニックス大理石)が使われた後期ビザンチン・ロマネスク様式で建てられています。
中に入ると壁から天井までフレスコ画で埋め尽くされており、描かれている肖像画は1000にも上るといわれています。(撮影はできますがフラッシュは禁止です。)
     
 
     

祭壇
 
キリストを描いた壁画
 
     

天井のフレスコ画
 
シュテファン王の石棺
 
     
  大理石の床の黒い部分には創建当時金が張られていたとのことですが今はほとんど残っておりません。  
     
        
 
     

イコノスタシス
 
剣を持ったキリストのフレスコ画
 
   
こちらは修道士の僧房で25人の修道士が生活しています。その奥には鐘楼も見えます。  
僧房の廊下にはトアカ(Toaca)と呼ばれる修行僧に時間を知らせる板と木槌があります。
 
     
午前11時デチャニを出発し、ペーチ修道院へ   
   
ペーチ修道院
 
デチャニ修道院から北に向かってバスは走り、ペーチ(ペーヤとも呼ばれています。)の町はずれにあるペーチ修道院についたのは11時35分、ここもKFORによって警備が行われています。
右の写真は入口そばに置かれたKFORの兵士の詰め所です。

 
   
     
ペーチ修道院は正式にはペーチ総主教修道院といい、セルビア正教会の修道院でセルビア大主教およびセルビア総主教の主教座にして霊廟となっています。
修道院は1250年ごろに大主教アルセニイェ1世により聖使徒教会が最初に建てられ、その北側に聖ディミトリウス(Demetrius)教会が大主教ニコディム1世によって1320年ごろに追加され、そして10年後の1330年頃には、大主教ダニロ2世が、聖使徒教会の南に第3の教会となるホデゲトリアの生神女教会を建て、更に南に小さな聖ニコラオス教会も建て都合4つの教会が繋がっているという複雑な構造となっています。
修道院の正確な設立は不明のようですが、セルビア大司教のサヴァが存命中の12世紀末から13世紀にかけて設立されたと思われています。
修道院は13世紀から14世紀にかけて増改築が行われ、内部のフレスコ画は14世紀ころに描かれたと推測されています。
ここペーチ修道院もコソボ紛争で破壊が行われたため、2006年まで修復作業が行われていました。
   
     
   門を入ってすぐのところにある遺跡は初代司祭の館跡です。  
     
   
     
   
     

壁には紛争時の弾痕の跡らしきものが残っています。
 
修道院内部は撮影禁止なっているので外から見えるフレスコ画を撮影
 
     

鐘楼
  
樹齢800年以上といわれるクワの木
   
クルミの木
  
ヒメジョウジナガカメムシ
 
      
 
 
   
午後1時少し前にペーチ修道院の観光を終わりペーチの町中のレストランで昼食後、午後2時20分最後の目的地プリシュティナに向かいます。
右の写真はペーチの中心部にある広場です。
   
     
     
     
     プリシュティナを見る    コソボに戻る    バルカン半島5ヶ国周遊の旅に戻る     トップページに戻る